劇場でひとり、しめやかに発狂

観劇、コンサート、映画などの感想

Travis Japanの武者修行渡米に寄せて

前回、と言っても2020年ですが、こんな記事を書きました。

sakukangeki.hatenablog.com

トラジャことTravis Japanに心を奪われてから1年半。ウイルスとの付き合い方が何となくわかってきつつも、世の中がまだ落ち着きからは遠い中、彼らは総合的なスキルアップのためにアメリカ・ロサンゼルスにて武者修行を行うことをインスタライブにて発表しました。

この発表の前、全員が揃ってブログを更新していて、且つ今回に限っては配信をアーカイブしないとのことだったので、何かしら動きがあることは想像できたのですが、そのスケールの大きさに驚きました。と、同時にワクワクしたのも事実です。

 

私は東方神起をきっかけに長年K-POPのファンをしていて、生活の変化と共に推し活が落ち着いていた時にトラジャに出会い、ジャニーズの世界に足を踏み入れました。ここには記していませんが、その後日プにどハマりし、シーズン2をリアルタイムで見届けつつ、JO1のファンになりました。現状、トラジャ担とJAMの二足の草鞋を履いています。さらに言えば友人の勧めでTHE FIRSTにもどハマり。こちらはHuluでラストライブを見届けた後、ライトなファンである状態です。

専門家でも分析屋でもないので間違ったことを言うかもしれませんが、今や日本においてもスキルが高いボーイズグループがひしめいてるのは火を見るより明らかだと私は思います。トラジャ担やJAMである前にエンタメが大好きな自分としては、このハイレベルな切磋琢磨が嬉しくてしょうがないのです。

 

Travis Japanは、マイケル・ジャクソンの振り付けも手がけたトラヴィス・ペインの名を冠したグループです。本人たちの当初のモチベーションはいざ知らず、パフォーマンスのクオリティとは切っても切れない間柄。良くも悪くも、宿命めいたものがそこにはあるだろうし、本人たちもそれを自覚して長年やってきたはずです。

ドキュメンタリー番組で「ジャニーズだからダンス下手なんでしょ?って言われたくない」とメンバーの吉澤閑也くんは話していました。

メンバー編成の変更を繰り返し、松松の加入が刺激・転機になって今の7人体制のトラジャが出来上がった。そして、スノストがデビューを発表した8.8からそれぞれの活動に対する意欲が変わった。それは数々のインタビューや動画で明かされています。

近年は、はっきりと目標を口に出す中村海人くんを中心に「世界に通用するグループになりたい」という言葉をあらゆる媒体で目にするようになりました。

 

コロナ禍という難しい時代の中、グループとしての調和を保ちながら、配信ライブでは7人がそれぞれソロ公演を任され、選手でも難しいと言われるトランポリン技を組み込んだ「虎者」を長期開催し、ようやく漕ぎ着けた有観客ライブ「Image Nation」では声が出せない分、見せることに特化した演出に注力して映像化もされた(セットリスト素晴らしかったです)。

さらには、アーティストとコラボレーションし、制限時間以内で振り付けと構成を完成させる×(バーサス)シリーズが定期的に放送され、ついに気鋭のコレオグラファーを招いて往年のジャニーズソングをより難易度の高い振り付けでパフォーマンスする「+81 DANCE STUDIO」のYouTubeチャンネルが開設されるに至った。

この合間に個人のお芝居やバラエティ出演もあり、一定の評価を得ていたとは思いますが、どの活動をとっても主軸はグループであり、なおかつ「明確なスキル・プロデュース力を持ったアーティスト兼アイドル」であるための布石だったのではないかと思います。

 

ファンにはそれぞれ求めるアイドル像があるでしょうが、私は漠然とした偶像であるよりも、確固たる武器を身につけ、自信を持って舞台に立つ「パフォーマー・アーティスト」であることを望んでいます。そこにファンや仲間に対する想いが付随してくれればそんな嬉しいことはない。

多分ですが、トラジャもそちらの方向性で進んでいこうと、尚且つファンや仲間も置いてけぼりにしたくないと、そう思った上での渡米の決断なのではないかと思っています。あくまでたまたま自分の理想と、トラジャの目指す方向性が合致した。だから驚きはしたものの、素直にいってらっしゃいと言えます(コロナ禍ということを除いては)。

 

まして冒頭に記したとおり、今、国内のボーイズグループは群雄割拠の時代です。私が熱中していた頃のK-POPはいわゆるサブカルチャーでしたが、今やBTSの名前を知る人は多く、身近なコンビニや飲食チェーンとコラボする時代。ボーイズに限らず、日本人メンバーを有するグループも多く、若者の中では間違いなくメインストリームだと思います。

韓国の練習生制度は時に非難の的になるほど厳しく、手厚く、契約関係の揉め事も後を立ちませんでしたが、その分クオリティの高いパフォーマンスが出来上がっているのは事実だし、少なくとも私が見続けた10年ほどの間で、ノウハウの蓄積も相まってか、技術的にもかなりの進化を遂げているように見えます。

先に挙げたBTSやBLACK PINK、NCT、TWICE、TREASURE、ITZY、IVEなどなど、Tik Tokを開けば彼ら・彼女らの難しい曲をカッコよく踊る日本の若者に数多出会い、たくさんのいいねを受け取っている。

そういうアーティストに刺激を受けた者が大勢生まれ、ジャニーズ一強だった日本のアイドルを取り巻く環境は大きく変わったはずです。

 

ある程度の年齢であっても、大きな経歴がなくても夢を掴むチャンスを得られるProduce 101 JAPANが一定の成果を収め、韓国式のトレーニング要素を取り入れて一糸乱れぬパフォーマンスを実現させた。JO1やINIが所属するLAPONE Entertainmentは、今では次世代の育成も開始しています。

また、従来のオーディション番組とは一線を画し、クオリティ・クリエイティブ・アーティシズムを重視したTHE FIRSTからは、結成されたBE:FIRSTだけでなく、将来を期待されるメンバーが続々と会社に加わった。

そんな才能がひしめく時代に、「世界で通用するパフォーマンスがしたい」と掲げたからには、デビュー前のこの時期に、がっつり本腰入れてスキルを磨く機会が欲しいと思うのはごくごく自然なことだと思います。裏を返せば、年齢的にも今すぐにでもやるべきだし、今しかチャンスはないと思います。

 

それなりに人気が出てきたからデビュー、国内の既存のアイドル像に倣う、ではなく、ちゃんと「Travis Japan」の、ダンスが武器の、名に恥じない実力を身につけて立派なグループになりたい。ここまできたら中途半端に終わってほしくない。だからこそ、私は今回のことをわりとすんなり受け入れられました。

無期限での渡米が左遷だとか、今までデビューのためにファンが行ってきたことが反故にされたとか、そんな意見を目にしますが、そうとは思えない。むしろその後押しを無駄にしないために挑戦する意気込みなのだととりました。

技術で勝負しようと決め、これから広く長く愛される存在を目指すためには、目先のおいしい状況を掻き分けてでもリスクをとる必要があるんだと思います(ビジネスライクなことを言えば、アメリカに長期間住むのは簡単ではないので、無期限と言いつつある程度の想定は立っているのではとみています)。

まして、今はデジタルでコンテンツを送り出せる時代。各種SNSはもちろん、コロナ禍で難しい実地的なライブに代わって、配信公演が当たり前のように行われるようになった。日本にはおらずとも、露出の減少を最小限に抑えながら修行ができる、またとないチャンスなのではないかとも考えます。

 

そして、事務所としても、状況的に確固たる技術力を擁したグループを輩出したいと思ってるんじゃないかなと。でないと、いくらジャニーズとはいえど、淘汰される可能性もあると、中核の陣営が変わった今だからこそ考え方もシフトしてきたのではないかと思います。+81を不在期間中後輩に託すかもしれない、という選択肢が出たのもそう考えれば納得がいきます(これに関してはトラジャだから!と始まったプロジェクトなので少し寂しい気持ちがあるのは事実です)。

盲目的にトラジャのやることを全面的に支持するのではなく、追いかけ始めてから今までの活動、ともなって見えた技術力の向上、そしてそれに合わせて携えた仲間や支持者に対する有り余る愛情があるからこそ、トラジャを信頼しています。

 

私がジャニーズだけを追いかけていたら、こうは思えてなかったかもしれません。それが悪いというのではなく、従来的なジャパニーズアイドルもひとつの文化であり、それによって救われている人がたくさんいるのも事実だから。まして今までは、ジャニーズ内に不文律的な「デビューモデル」のような流れもあったはずなので、それをめがけて必死に愛情を注いだファンの存在をなしに今のトラジャは語れないと思います。

ドライに聞こえるかもしれませんが、ただ、たまたま、今のエンタメを取り巻く状況を鑑みて、トラジャがこの道を選んだ。それに尽きると思います。そして、トラジャ担である私は、それをたまたま支持した。それだけのこと。

ある人にとっては納得のいかない決断かもしれないし、受け入れたとしても寂しい気持ちがあったり、理解するのに時間のかかることだとは思うけど、これから先の時間に説得力を持たせられるかどうかはトラジャがこれから作っていくことだし、少なくとも私は勝手に大丈夫だと信じています。

 

この難しい状況の中でも渡韓してスキルアップしている日本のグループ、ひいては世界中飛び回る数々のK-POPアイドルを見ているので、不安はありません。世界的には前例のあることでも、ジャニーズとしては38年ぶり。そこに身を置いたトラジャはやっぱり尊重すべき、尊敬すべきグループだなと。私も負けていられないなと、また背中を押されています。

本人たちが張り切って注力を約束したInstagramをはじめ、近況を知る手段はいくらでもあるだろうし、ましてや冗談かと思って聞いていた「トラジャのシェアハウス暮らし」が実現してしまうと聞いてワクワクしています。ぜひ修行の合間にその様子を見せてほしいとひそやかに念じておきます(笑)

あとはとにかくとにかく、健康第一で。

 

トラジャだから大丈夫でしょう、そんな気持ちで私はこれからも見届けます。

7人の虎たちに栄光あれ。