劇場でひとり、しめやかに発狂

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WINNER JAPAN TOUR 2018 ~We'll always be young~

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WINNER JAPAN TOUR 2018 ~We'll always be young~ 
 
感想をまとめるのにずいぶん時間がかかってしまったけれど、2年ぶりの開催となるWINNERのライブツアーに参加しました。長い空白期間の後にテヒョンが脱退し、再起の一発でリリースされた『Really Really』が爆発的なヒットを遂げ、グループ・個人問わず活動の幅がぐっと広がった彼ら。そんな濃密な2年間を経て改めて見たステージ。変わったところ、変わらないところ、交々含めて「やっぱりうぃのはいいなあ」と思えました。
 
ちなみに去年のファンミーティングで思ったことはこちら。 

4人のWINNERの普遍性

今回も彼らに感じたのは、ペンミのときと同じく「確固たる普遍性」。
それどころか、ヒットで得た自信や評価、そこから発生した多くの個人活動の積み重ねによって、それぞれの自律感覚がさらに養われているように見えた。平たく言えば「スターの立場に慣れた」ような。
顕著なのはジヌの振舞い。器用からはほど遠い彼がサラリとステージをこなしている姿に、踏んだ場数とつけた自信を感じ取りました。
スターに慣れたというのは決して悪意ある言葉ではないです。「パフォーマンスを提供して金銭を得る立場として不要な不安感が取り払われつつある」というイメージ。この不安感、いくら「WINNER」として評価されてもぬぐえない部分だと思っていて。やっぱりスンユンが、スンフンが、ジヌが、ミノが、それぞれのフィールドで活路を見出せるようになってきたからこそ、それぞれの内面によりどころとなる自信がついたんじゃないかと思います。ゆえに、安心して、依存的にならずにグループにも向き合える。
それなりの期間K-POPを見続けてきて思うのは「グループ力=結局は個人力」ということ。いくらグループが褒められても、個人にパワーの差があると最終的に尻すぼんでしまう。先輩のBIGBANGしかり、日本でいえばSMAPしかり、一人で放り出されてもサバイブできる能力があればこそ、息長くグループ活動との均衡が保てる。だから、それぞれが活躍できるようになってきた今、これからもこのバランスをとり続けてほしいなと思った次第です。
 
明らかに違っていたのは彼らではなく、むしろこちら側。ぱっと見てわかるほど若年層のファンが増えていた。登場したらキャー、少しカメラに寄ればキャー、表情に悶えて地団駄踏む女子高生。トレンドになった感がひしひしと伝わった。それでも公演中の彼らは変わらず穏やかで、気負った空気など一切なし。楽曲の雰囲気そのまま、ゆるやかに流れていった2時間。この絶妙な緊張感のなさも含めてやっぱりうぃのっていいよな、って思えました。
 

ライブの感想・セットリスト

とりあえず順を追って覚えてることを。
 
オープニング
シンプルなセットとライティングで、派手な映像もなく奈落からせりあがる4人。これだけで成立しちゃうところが彼らのスター性。
明かりがついて姿が見えたときの断末魔に震えた。惜しみなくシルバーのスパンコールが施された、人を選びまくる衣装も、スタイル勝ちしてバッチリ着こなしてる。
これから先ずっとそうだったけれど、スタイリングに関してはとにかくソンミノぶっちぎり優勝。丸レンズのサングラスにウェットになでつけたピンクヘア、先日までハマり込んで見ていたドラマ「アンナチュラル」の木林さんを彷彿とさせる怪しげな空気感にしょっぱなから射抜かれてずっと見てしまいました、ユンペンなのに(笑)
 

1.LOVE ME LOVE ME
2.Don't Flirt
3.Love is a lie

キメッキメで出てきたわりには3曲続けてキャッチ―なのがなんとも愛らしくてw
新曲のラミラミで客席のわくわく度を上げたあと、「バレバレな嘘!」で一回しっかり声を出す流れを作り、「Love is a lie」の連続コールアンドレスポンスで温まりきるこの流れ、完璧だったと思う。
 
コメント
SH「みんなの彼氏スンフンでーす!」
SY「はい、みんなの彼氏スンフンでしたー」
カンスンユン古家さん疑惑


4.HARU HARU

聴かせることに関してやっぱり群を抜いてるなと思うのは、こういうスローテンポの名曲がすんなりと板についてしまうから。2NE1のMissing Youカバーも大好き。サビのハモリにライトの演出がどうしようもなく涙腺に刺さる。とにかくスンユンのハスキーボイスが好きでしょうがない。歌う分量が増えたことでジヌの天から舞い降りるような透明感のある声が立つようになった。ラッパー組も対照的な声質だし、この2対のコントラストがたまらなくよかった。


5.RAINNING
6.HAVE A GOOD DAY

 

コメント

JW「僕のこと好き?どれくらい?」

(手を広げるファン)

JW「アオリラーメンか!?」

ジヌヒョン知らない間に日本語力爆上がりしてた(当人比)


7.The Door

ぎええええこの曲大好きなんだぜ…ジコ様!ウジホ様!などと心の中で礼拝のお時間決め込んでいたらぬるっと出てきた色髪コンビのオーラに幽体離脱。初期のショーケースでボーダーを着ていた青年とは思えないスターの風格...ここからのミノの衣装も抜群。黒インナー、ジャケット、ワイドパンツにチョーカー。木林度マシマシ。


8.Different
9.FOOL
10.Color Ring

スンユンのギターだけで始まるしっとり感、いい。会場の音質がもう少しよければなぁと袖を握ったり。各メンバー1台ずつあてがわれた小型カメラに顔を寄せてチューやらウィンクやらで発狂するファンちらほら。ア…アイドル…!スンユンがカメラ撫でまわしてるのが一番ニヤけた(ちゃっかり楽しむ)。あ、ミノがほっぺを指さして「チューして!」ってやってたのもよかった(がっつり楽しんでる)。

11.Empty
ソファ狭いね...?聴くほどに空虚感が冬の冷たい空気のようにツーンととおる、曲調と内容が震えるくらいリンクしたいい曲だなと思う。悔しくてたまらない中、曲を譲り渡したハンビンとバビのことを思うと万感胸に迫るよう。
 
VTR
この後続く曲の振り付け指南と発声練習。ジヌが自信なさげに両手をあげる姿がアメリカのハイウェイで捕まったスピード違反者じみてておもしろかった。

12.REALLY REALLY
13.ISLAND
このあとやりますよ!ってVTRで予告されてるにもかかわらず、ぶちあがるんだからReally Reallyってばやっぱりすごい。さすが億単位でダウンロードされただけのことはある。ここからの衣装も各人似合うものを着ててすごくいい。ハイパーおしゃれオタクみたいなスタイリングのミノはぶっちぎり優勝、ジヌの赤いジャケットも顔だちとキャラに合うし、スンフンのペイズリーストリートカジュアルは韓国男子の最終形態っぽくて非常にマッチしてた。ただ、スンユンのポシェットは本人のキャラが邪魔して「初めて海外に来た心配性のおじさん」にしか見えないw
 
コメント
フニがペンミで披露したLA LA LANDのCity of Starsのダンスをほんのりと。Another Day of Sunが流れたってことは音源あったんじゃないのか疑惑。ちゃんと聴きたかったなあ。VTRでの発声練習はほとんどのファンがやってなくて、スンユンに「何事ですか!」と怒られたりも。ポシェットのせいで引率の先生に説教されてる気分w

14.IMMATURE
15.Just Another Boy
16.Smile Again
畳みかけるようなアッパーソングの数々。間違いなくボルテージ最高潮になる曲を持ってるから素晴らしいなあ。多くのうぃのぺん同様、やっぱりSmile AgainとGo Upにはそれなりに思い入れがある。特に今回はテヒョンの件とWINの中間審査での逆転劇がリンクしてしまって、途中からペンライトを振らずに棒立ちで聴いてしまった。「いろいろあった」の一言で片づけるのは野暮かもしれないけれど、今の彼らにはその言葉が適してると思う。きっと私が思っている以上にいろいろあったのだろう。そのいろいろの一端を感じて、じわりと暖かい感慨が胸にこみ上げた。

 

アンコール

1.LA LA
2.LOVE ME LOVE ME
3.REALLY REALLY

 

コメント

ミノが「この思い出が皆さんにとっていつまでもおいしいおつまみになればいい」って言ってた。気の抜けたときにふとよみがえって、その話でお酒が呑めちゃうみたいな種類の思い出っていいよね。的を射た言葉選びでさすがマイノ先輩、と思ってたけどなんか語感がおもしろくて笑っちゃった。


4.Go Up

最後の最後。川崎公演の初日は1番全部スンユンに歌わせて、2日目はランダムに誰かに無茶ぶり。ラップ含めて全部歌えてたスンユンやべえよ。からの2番はまじめに。

やっぱりいつまでたっても最後はこれが聴きたい。きっとメンバー含めてほとんどの人がそう思ってるはず。WINでの苦戦、デビューが決まった瞬間、緊張に満ちた音楽番組、日本でのライブ、4人体制への変更、そしてReally Reallyの大ヒット、私の知ってること全部全部、頭の中でスライドになって現れる。ふとしたタイミングでWINNERを応援し始めて、自分に何か起こるたび拠り所となって、考えるきっかけや前向きになる音楽を与えてくれていること、波のように押し寄せてくる。

それぞれのメンバーに思うこと

スンユンはペンミのときから一層肩の力が抜けていたし、完全に上3人に預けて末っ子然とした場面も多々あった。最年少かつリーダーって一見複雑な気もするけれど、5人のときは上も下もいて、とりつかれたように一切合切まっとうしなければ!っていう雰囲気だったから、一番下になることで取れたプレッシャーもあってよかったんじゃないかと思う。

ジヌは最初にも挙げたとおり場慣れして変な緊張が解けたのが如実にわかる。デビューステージの眉間の皺とはかけ離れたナチュラルな立ち振る舞いに、持ち前の美しさが層をなして思わず見とれてしまった。歌唱力もアップした気がする。しかし根本のざっくばらんさは変わらずで、ずっと垢抜けない部分が残ってるのがまたいい。イケメンの自覚はあるけれど、そうやって扱われることが彼にとっては当たり前すぎてるのもいい(だからこそ、才能だらけの中にいることが悩みになったりもしてそうだけど)。素材がよすぎるがゆえに未だにメンバーが照れてたりするのがたまらない。

スンフンの存在は安定の緩衝材。とにかく場の空気が読める。どこで何を言えば・すれば盛り上がるか、ロジックではなく肌感覚でわかってるのだと思う。生粋のエンターテイナー。ヤンサがK-POPスターのときに買ったであろう独創性が、目に見えない無数の細かい場面で余すところなく発揮されていた。うぃのを包括してるのは間違いなくフニ。

ミノはいで立ちが最高。今回の公演中一番見た。痩せた理由が健康的かどうかと言われたらわからないけれど、とにかく舞台には映えてた。いいか悪いかはさておき、YG的なオーラが一番強いと思うから、他グループに興味があってうぃのも…ってなったとき、窓口になるのはきっとミノなんじゃないかと。実際歓声も大きいし。K-POP好きでいながらあまりラップに興味がないのですが、うぃのはラッパー組の人の良さがにじみ出た和やかな空気が好きです。

これからのWINNERに思うこと

確固たる普遍性をもたらしたそれぞれの自信、曲、パフォーマンス、再度見直されたであろうグループのあり方、ファン…様々な要因が折り重なって、しみじみと目新しく、でもゆるぎなく楽しい公演だった。
もちろんエッジの立ったテヒョン体制を否定するわけじゃない。むしろそれを見てWINNERのファンになったからすごく好きだった。ただ、4人になったことで角が取れ、4人ならではのWINNERらしさが改めて構築されて、張り詰めた糸がほどけたのも感じ取れるし、目に見えた結果が出たのもよかった。だからこそ今「メンバーが幸せに活動していくことが目標」という原点回帰の言葉が出てくるのだろうし、そうあってほしいと思う。そうしてついてくる人を大切にしながら、楽しく歌っていってくれたらと思いました。ジョンヒョンの件ともリンクするけれど、やっぱり何をするのも、感じるのも、自分次第だから。外で起きた出来事も、自分のフィルターを通るから。そしてそれが糧となって、外に発信されるから。自分を大切にした上で、上機嫌で、音楽を作り続けてほしいなと思います。念願の武道館公演も楽しみです。